横尾忠則は、1960年代から日本を代表するグラフィック・デザイナーとして活躍を続けるかたわら、並行して絵画の制作をおこなってきた。《花嫁》は、1966年に南天子画廊で最初の絵画による個展を開催した際に出品されたもので、野卑なエネルギーに満ちたピンク色の女性たちの連作の一点である。グラフィック・デザインの仕事とも共通する、土着性や通俗性を強調した特有の反モダニズムが目を惹く1996年の《実験報告》に描かれているのは、横尾が好んで取り上げる江戸川乱歩的な少年冒険小説の世界である。ヌードから戦闘機まで、並置された種々雑多なモティーフは、少年少女向けの図鑑を連想させるナンバリングによって画面に統合されている。2001年に始められた「Y宇路」連作は、三叉路の夜景をモティーフとしたもので、観客一人一人の、心に潜む「分かれ道」の記憶を喚起する作用を持っている。なカでも《意志の彷徨》は、鉄道のガード下をモティーフにしており、古いギャング映画を思わせるような物語の予感に満ちている。渦を巻くような構図も、観客を絵の中に引きずり込む役割を果たしていよう。横尾の絵画のスタイルと主題は、時代によってめまぐるしく変転を重ねており、描出される対象も森羅万象に及ぶ。様々な源泉から引用した事物を画面の上でコラージュ的に接合し、自己の物語と重ね合わせていくその絵画は、モダニズムの求心的な追求とはまったく対照的であると言えよう。横尾の絵画にあって何よりも魅力的なのは、未知なる物語を「絵のように」描き出すという、絵画の原初的な力を感じ取ることができる点ではないだろうか。(Y.M.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 意志の彷徨
- 作者名
- 横尾 忠則
- 制作年
- 2002
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- 油彩/カンヴァス
- 寸法
- 194×259.1cm
- 受入区分
- 寄贈
- 受入年度
- 2004
- 作品/資料番号
- 2004-00-0005-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/4898/
東京都現代美術館のその他の収蔵品 (8082)
[Viva! Fluxus 記録写真] 靉嘔《O⁷》 靉嘔
安齊 重男
東京都現代美術館
週刊少年マガジン 34号
横尾 忠則
東京都現代美術館
[中野淳関連資料:下町スケッチ](10/55)
中野 淳
東京都現代美術館
橋のある風景(ARNO TEVERE)
保田 春彦
東京都現代美術館
[吉田克朗関係資料一括]
吉田 克朗
東京都現代美術館
石だたみ
鳥海 青児
東京都現代美術館
SIM (R)
一原 有徳
東京都現代美術館
アンソニー・カロ《シー・ミュージック》1991
安齊 重男
東京都現代美術館
明暗法からの視線
中村 宏
東京都現代美術館
[模型]
アンソニー・カロ
東京都現代美術館
再開[「隔離生活ドローイングシリーズ」より]
大岩 オスカール
東京都現代美術館
knot (red)
冨井 大裕
東京都現代美術館
1970年代美術記録写真集 「高見沢文雄 1977年1月20日 ときわ画廊」
安齊 重男
東京都現代美術館
「クムバーカルナの死」[『ラーマーヤナ』六の巻より]
駒井 哲郎
東京都現代美術館
聖家族 12[『聖家族』より]
髙山 辰雄
東京都現代美術館
盟友2016
クサナギ シンペイ
東京都現代美術館