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門

Capped Arch

デイヴィッド・ナッシュ NASH, David

ナッシュは1970年代半ばからイギリスのウェールズやヨークシャーの森に住み、自然木を用いて自然と人間の関わりをテーマとした作品を制作してきた。本作品は1982年に開催された「今日のイギリス美術」展(東京都美術館他)のために制作されたものである。自然木の形状のみならず、それが元来置かれていた場所からも作品の想を得るナッシュは、本展開催の1ヵ月前に来日し、奥日光の森で出品作5点を制作した。《門》は、台風で根元から二つに裂け、倒れた木をチェーンソーで二股になった部分と一本脚の部分二つの三つに切断し、組み合わせたものである。生えている木を切り倒さず、自然の倒木や落ちている枝を用いるナッシュの制作理念は、エコロジーに対する関心の表れとして受け止められがちであるが、チェーンソーの使用や建築の門を思わせるフォルムが人為的行為の産物であることは否めない。ナッシュの自然主義は単なる自然崇拝や文明批判というより、自然から身を守らねばならない人間と、人間による破壊行為に無力な自然との関係に向けられる。生ける木には触れず、切断と組み合わせという最小限の人為的行為によるフォルムは人間と自然の原初的な関わりを象徴しているのである。(K.H.)

所蔵館
東京都現代美術館
作品/資料名
作者名
デイヴィッド・ナッシュ
制作年
1982
分類
彫刻・インスタレーションほか
材質・技法
木(ミズナラ)
寸法
250×143×180cm
受入区分
購入
受入年度
1982
作品/資料番号
1975-00-4210-000
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