何の変哲もない四角い形、鋭いエッジ、青味を帯びた冷たい光沢。工業製品のようにクールで無表情なスティール製の箱が10個、等間隔で縦に1列、壁に取り付けられている。それらは何か具体的な物の形を表しているわけでも、何かを象徴しているわけでもない。私たちが身を置く現実の空間に、物それ自体として存在しているだけだ。
絵画は本来二次元の平面にすぎないが、色が塗られ、線が引かれ、形が描かれることで奥行きが生じ、三次元のイリュージョンが生まれてくる。画家として出発、その一方で哲学を学び美術批評もてがけていたジャッドは、こうした絵画の宿命から逃れるべく、絵画でも彫刻でもない三次元の物体に到達した。工業的な素材による極限にまで還元された単純な形。その反復が造り出す揺るぎない全体性と秩序は、緊張感に富む非妥協的で厳格な美をもたらした。いわゆる<ミニマル・アート>の典型的な作品である。(J.S.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 無題
- 作者名
- ドナルド・ジャッド
- 制作年
- 1973
- 分類
- 彫刻・インスタレーションほか
- 材質・技法
- コールド・ロールド・スチール
- 寸法
- 10点組:各23×101.6×78.7cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1991
- 作品/資料番号
- 1991-00-0049-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/3890/