作者のルイスはワシントンで制作していたが1953年ニューヨークのヘレン・フランケンサーラーのスタジオを訪れ、彼女のステイニング(染めこみ)の技法で描かれた作品を見た。そこから地塗りを施さないカンヴァスを溝状に折り、薄く溶いた透明に近いアクリルを流す《ヴェール(被膜)》のシリーズが生まれた。この作品はシリーズのなかでも完成期の1点である。使用された色は画面上端に見ることができるように緑、オレンジ、ピンク、黄色などで、これらの色の帯が重なり合い広がりながら下方に流れている。全体を覆う暗褐色はそこにさらなる明暗の転調を生じ、不規則に乾いた絵具の跡とともに細部をかたち作っている。ここでは絵具の重なりは画面上に積層していくのではなくカンヴァスに浸透し、これに一致する。しかし半透明のヴェールとして表れる色彩の重なりは透視されるので、絵画内の空間が否定されることはないのである。(C.H.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 金色と緑色
- 作者名
- モーリス・ルイス
- 制作年
- 1958
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- アクリル/カンヴァス
- 寸法
- 237.5×352cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1991
- 作品/資料番号
- 1991-00-0041-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/3882/
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