
深みのあるピンク色の地に緑色とローズ色の球体が浮かぶ。微妙な陰影を施された、大きさの異なる球体は、不均衡な構図のなかで反復し、有機的に連鎖していく。絵具は下に塗られた色をほのめかしながら幾重にも塗り重ねられ、深みのある色彩、材質感を実現している。こうした色彩や筆触、構図は本来二次元の平面であるこの作品に三次元的な空間の奥行き感(イリュージョン)を与えている。画面に浮かぶピンク色の地と球体のバランスはこの時期の辰野の特性であろう。1970年代にストライプや格子を基本としたミニマルな版画やドローイングを手掛けていた辰野は、1980年代以降油絵具の材質感を生かした絵画を制作しはじめた。そこでは常に有機的な線や矩形、球形などのイメージが立ち現れている。画家マティスを愛するという辰野は常に色彩豊かで、豊穣な質感を持つ作品を追求しており、今日の日本の絵画動向を代表する画家として高く評価されている。(Y.H.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- UNTITLED 90-14
- 作者名
- 辰野 登恵子
- 制作年
- 1990
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- アクリル/カンヴァス
- 寸法
- 218×291cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1991
- 作品/資料番号
- 1991-00-0034-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/3875/
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