作者は東京芸術大学3年のときに駒井哲郎から銅版画の指導をうけたことから銅版画を専門とすることとなる。初期の作品は時代の動きを反映して社会的なメッセージが伝わってくる作品が多いが、1970年代の後半からは自然の草や花、木の枝等をモティーフとした作品が多くなる。本作品では地表をそのままコピーで写し取りそれを版画作品に起こしている。モノクロームに還元された地表は写し取られた物の感触を十分に見る人に伝え対象の存在感を切実なものとしている。
本作品には他に春、夏、秋、冬があるが、それぞれに四季の風情を地表に落ちている秋の枯れ葉、春の花びらを小画面のなかに描き出すことで季節を示し、連続して見るとーつの四季絵になっている。日本美術の伝統のなかでは四季はよく取り上げられる画題である。ただその場合四季の変化を分かりやすく大きい画面に描きだすのが通例であり、このコピーを利用した作品は作家独自の四季絵となっている。(I.K.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 転位 ’82-地-Ⅰ(冬)
- 作者名
- 中林 忠良
- 制作年
- 1982
- 分類
- 版画
- 材質・技法
- エッチング、アクァチント
- 寸法
- 57×49cm
- エディション等
- Ed. 37/50(画面内左下、紙面裏)
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1983
- 作品/資料番号
- 1975-00-7461-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/2736/
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