木を鉛でつなぎ合わせて大きな扇型に型取った作品。近くから見ると木の材質感が手に取るようにわかるが、黒鉛すなわち鉛筆の芯と同質の材料で黒く塗られているために表面はくすんだ鈍い輝きを放ち、遠くから見ると磨かれていない金属のような印象を受ける。このシリーズには《微香音》、《微再音》、《微界音》、《微陶音》などのヴァリエーションがあるが、作品の名は音が綺麗だからつけられたもので深い意味はないという。しかし作者が一連の作品で求めたものは、音、光、空気、香りなどを微妙なところで切りわける空間の敷居であった。作者はそれを閾(いき)と呼んでいる。屋外、室内、広い部屋、狭い部屋を問わず、この作品が置かれることによってひとつの空間が仕切られて、新たな空間が生み出される。さらに、表面の模様や凹凸のニュアンスによって周囲を巡る空気や光にかすかな律動すら感じられるあたりが、この立体作品の持つ不思議な魅カといえよう。(M.S.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 微空音-1
- 作者名
- 米林 雄一
- 制作年
- 1986
- 分類
- 彫刻・インスタレーションほか
- 材質・技法
- スプルース材、鉛、黒鉛
- 寸法
- 215×430×40cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1987
- 作品/資料番号
- 1975-00-4179-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/1430/
東京都現代美術館のその他の収蔵品 (8082)
Gemini
篠原 有司男
東京都現代美術館
踊り(後ろ向き)
池部 鈞
東京都現代美術館
1970年代美術記録写真集 「森田秀 1981年2月4日 コバヤシ画廊」
安齊 重男
東京都現代美術館
WHY NOT? / BALLOON
矢萩 喜從郎
東京都現代美術館
バインダー
曽山 節雄
東京都現代美術館
アンソニー・カロ《草上の昼食 Ⅱ》1989
安齊 重男
東京都現代美術館
ジグザグ・スツール(透明)
カンパナ・ブラザーズ
東京都現代美術館
貝
浜口 陽三
東京都現代美術館
生命の流動 音楽的創造(シンフォニィ第35番)
神原 泰
東京都現代美術館
道草のすすめ―「点 音(おとだて)」and “no zo mi”
鈴木 昭男
東京都現代美術館
[不詳]
ベン・ニコルソン
東京都現代美術館
ナムジュン・パイクおよび久保田成子関連資料② ナムジュン・パイク 版画 タイトル不明
ナムジュン・パイク/久保田 成子
東京都現代美術館
モンスーリ公園にて
佐藤 亜土
東京都現代美術館
1970年代美術記録写真集 「倉重光則 1982年4月15日 インデペンデント ギャラリー」
安齊 重男
東京都現代美術館
国鉄労働者(炭水場)
新海 覚雄
東京都現代美術館
椅子の上の乾いた像
マーク・マンダース
東京都現代美術館