
村岡三郎は日本における鉄彫刻の先駆者のひとりとして位置づけられる。しかし彼の作品は、必ずしも鉄という金属素材の物質的特性だけを表現手段としているものではない。この《Tool No.3 乾燥器-Salt Line》も、焼いた土を挟んだ鉄製の机の上に塩で線が引かれ、それにプロパンガスボンべがゴムホースで繋がれている。鉄を素材としつつも一見複雑で難解な作品だが、作者の関心が熱や音といった物質素材では提示できないものにあると説明されれば、一応納得できるであろう。しかしさらに考えてみれば、プロパンガスは熱の象徴、熱は鉄を溶かすもの、焼いた土は鋳型をかたどる材料、塩は鉄を錆びさせる素材であることに気づく。村岡は鉄を巡る様々な事象を作品に織り込んでいるのである。古来から鉄の剣や鏡は世の東西で信仰の対象とされてきた。鉄の固さ、強さ、輝き、精錬される時に必要な膨大な熱量などが、いつしか畏敬の対象になっていったのであろう。村岡も鉄に対する自らの想いを彼独自の方法で作品に託しているのである。(M.S.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- Tool No.3 乾燥器 – Salt Line
- 作者名
- 村岡 三郎
- 制作年
- 1979
- 分類
- 彫刻・インスタレーションほか
- 材質・技法
- 鉄、土、塩、プロパンガスボンベほか
- 寸法
- 50×90×180cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1984
- 作品/資料番号
- 1975-00-4159-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/1405/
東京都現代美術館のその他の収蔵品 (8084)

澗林絶壁(奥秩父)
木和村 創爾郎
東京都現代美術館

自画像
寺田 政明
東京都現代美術館

『日本不思議物語集成五 太平記』(現代思潮社、1973)挿画 [pp.362-363で使用]
中村 宏
東京都現代美術館
![作品画像:[不詳]](https://museumcollection.tokyo/wp-content/uploads/2022/08/19910.jpg)
[不詳]
福島 秀子
東京都現代美術館

振込み
豊嶋 康子
東京都現代美術館

「TOKYO SUBURBIA 東京郊外」浦安マリナイースト21、千葉県
ホンマ タカシ
東京都現代美術館

現実の魚 生きている魚
ナムジュン・パイク
東京都現代美術館
](https://museumcollection.tokyo/wp-content/uploads/2022/08/13263.jpg)
[小清水漸作品写真集 3](16/30)
小清水 漸
東京都現代美術館

水のリトグラフ(線、緑とライトブルーの淡彩)
デイヴィッド・ホックニー
東京都現代美術館
![作品画像:[靉嘔展記録写真] 22](https://museumcollection.tokyo/wp-content/uploads/2022/08/7245.jpg)
[靉嘔展記録写真] 22
安齊 重男
東京都現代美術館

シェパード
長谷川 義起
東京都現代美術館

穂高上高地
伊藤 清永
東京都現代美術館

鉄橋近く A
松本 竣介
東京都現代美術館
![作品画像:[吉田克朗関係資料一括]](https://museumcollection.tokyo/wp-content/uploads/2025/08/24698.jpg)
[吉田克朗関係資料一括]
吉田 克朗
東京都現代美術館
](https://museumcollection.tokyo/wp-content/uploads/2022/08/13209.jpg)
[小清水漸作品写真集 2](36/74)
小清水 漸
東京都現代美術館
![作品画像:カフェ[『新東京百景』より]](https://museumcollection.tokyo/wp-content/uploads/2025/09/18494-1024x783.jpg)
カフェ[『新東京百景』より]
恩地 孝四郎
東京都現代美術館