六つの半球がこちら側に突き出て並んでいる。その表面はまわりの風景を映し出し、半球に近づいていくとそこに6人の自分が現れる。そこは、アルミ製の鏡の世界。普通の鏡と違い、凹凸のあるゆがんだ表面がいたずらをする。鏡の中でまわりの世界が伸びたり、縮んだりし、それを見ている自分の顔も細くなったり、太くなったりする。多田美波の作品は、アルミやステンレス、ガラスなどを使ったものが多く、屋外に置かれると、空の青さや木々の緑などまわりの環境を映し出す。こうした素材による立体作品は、現代建築の生み出す空間にふさわしい存在として発展し、いまでは、高層ビルの吹き抜けや広場の水辺などに多く見られるようになった。この作品は、建築の照明デザインや壁面装飾なども手がけている多田美波の初期作品のひとつであり、その後の彼女の出発点と考えられる。光を反射し、環境を反映することによって存在する作品であり、光や鏡の世界という非物質的な要素を彫刻に取り込んだ先駆的な例である。(Y.S.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 周波数 37306505
- 作者名
- 多田 美波
- 制作年
- 1965
- 分類
- 彫刻・インスタレーションほか
- 材質・技法
- アクリル樹脂、アルミ、鉄
- 寸法
- 201×305×50cm
- 受入区分
- 寄贈
- 受入年度
- 1987
- 作品/資料番号
- 1975-00-4086-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/1329/
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