
工藤哲巳は読売アンデパンダン展などで既成概念に異議を申し立てる「反芸術」的作品を発表していたが、1962年に渡仏、晩年に帰国するまでパリを中心に活動した作家である。既存の素材を取り込むアッサンブラージュの手法を採り続けたが、それは、渡仏以前から常に一貫していた、彼の社会や常識に疑義を抱き続け、異議を申し立てる姿勢と不可分といえよう。工藤は自分の作品を「一つのコミュニケーションのための材料」と定義づけており、その背後には我々が核の時代に生きていることに対する強い自覚、人間解体やエコロジーの観点をもった独自の思想がある。紐の結び目が増殖していくこの作品では、「連鎖反応」という核物理学用語が引用されたタイトルが示すように、生命体の放射能による人工的な増殖――性によらない増殖がイメージされている。タワシや紐という卑近な素材を用いながら、有機的な複合体を思わせる最初期のこの作品にも、既に工藤の独特な世界観と思想が現れているといえよう。(Y.W.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- X型基本体に於ける増殖性連鎖反応
- 作者名
- 工藤 哲巳
- 制作年
- 1960
- 分類
- 彫刻・インスタレーションほか
- 材質・技法
- 紐、鉄、ビニールチューブ、タワシ
- 寸法
- 73×82×65cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1983
- 作品/資料番号
- 1975-00-4045-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/1281/
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