日が沈み、黒く染まった家並みにしんしんと降り積もる雪。水面に浮かべられた木々にもすっかり雪化粧が施されている。雪明かりでほんのり照らされている空を見上げると、まだまだこの白い結晶はやむことがなさそうだ。痛いほどに冷えた空気を感じつつも、なぜか心温まるのは、家屋の窓からこぼれる山吹色の明かりのせいだろうか。
この作品で描かれているのは昭和初期の深川木場。作者の川瀬巴水は、江戸の名残がかすかに香る東京の風景を、情緒豊かに写しだした版画を多数残している。
舞台となった木場は、江戸の頃より貯木場として栄えていた場所である。江戸幕府が開かれた当初、材木問屋は日本橋周辺に軒を連ねていた。しかし、火事が多発していた江戸の町。その中心部に材木を集めていては、火災のたびに焼失してしまう。そこで元禄14年(1701年)、多くの材木問屋が現在の江東区木場公園一帯に場所を移した。江戸の新たな名所の誕生である。以降、昭和後期に新木場へ移転するまで、木場は貯木場として江戸東京の発展を支えた。
- 所蔵館
- 江戸東京博物館
- 資料名
- 木場乃雪
- 資料番号
- 91222092
- 小分類
- 版画
- 種別
- 近代木版
- 作者(文書は差出人)
- 川瀬巴水/画
- 発行所(文書は宛先)
- 渡邊庄三郎/版
- 年代
- 昭和前期 昭和9年3月 1934 20世紀
- 員数
- 1枚
- 法量
- 39.3cm x 26.2cm
- 江戸博デジタルアーカイブズ
- https://www.edohakuarchives.jp/detail-7710.html