錦絵新聞とは、明治時代初期、新しいメディアとして導入された新聞の中からとくに耳目を集める事件について絵と文で即物的に伝えた錦絵の一種で、題材は、美談、珍事、殺人、恋愛など様々であった。
本資料は1873年(明治6年)3月22日に発行された東京日日新聞を元記事に、親孝行にまつわる事件について報じた錦絵新聞。1874年(明治7年)10月に発行された。記事には、老いた母のため、秋の深山に入り、わずかな氷を求めたとある。絵は鮮やかな赤枠が全体を囲み、天使がタイトルのリボンを持つ構図は文明開化を感じさせるが、山や木に使われている黒や草ぐさの緑など、多色刷りである浮世絵版画ならではの色の鮮やかさに目を引き付けられる。
文中ほぼすべての漢字には読み仮名がふられ、元記事にある難解な文章も平易な文に変えられているほか、庶民の関心が高いゴシップ的要素もあり、大衆向けのものになっている。このような親しみやすさから錦絵新聞は次々と部数をのばし、新聞の普及へとつながった。
メディア形態としてはごく短命に終わった錦絵新聞であるが、それまで知識人層になかば独占されてきた時事情報を、一般大衆にも開放したその功績はメディア革命とも評せるだろう。
- 所蔵館
- 江戸東京博物館
- 資料名
- 東京日々新聞 322号
- 資料番号
- 90200073
- 種別
- 錦絵
- 作者(文書は差出人)
- 落合芳幾/画 転々堂鈍々/記
- 年代
- 明治前期 明治7年10月 1874 19世紀
- 員数
- 1枚
- 法量
- 35.7cm x 23.7cm
- 江戸博デジタルアーカイブズ
- https://www.edohakuarchives.jp/detail-4354.html
江戸東京博物館のその他の収蔵品 (53384)
角形木樋
江戸東京博物館
絵画叢誌 第132巻
江戸東京博物館
東京名所四十八景 中の郷枕はし
昇斎一景/画
江戸東京博物館
深川永代橋
江戸東京博物館
麻疹絵 麻疹養生心得
歌川芳虎/画
江戸東京博物館
記(領収書)
川越堂本店/作成
江戸東京博物館
陶製湯タンポ
江戸東京博物館
眼鏡絵 古代ギリシャ神殿の内部
江戸東京博物館
封筒
翼賛壮年団世話人一同/作成
江戸東京博物館
万延元年庚申六十一年ニ当り 冨士山北口女人登山之図
落合芳幾/画
江戸東京博物館
日本野球学童入場券
江戸東京博物館
皇軍慰問金領収証
江戸東京博物館
生人形高名真似顔鑑
白雪齋貞泰/画
江戸東京博物館
鮑に蛙彫とんこつ腰差したばこ入れ
江戸東京博物館
柏戸宗五郎
勝川春英/画
江戸東京博物館
関東醤油造番付
江戸東京博物館