武家女性が用いた衣装。青みがかった鼠色の縮緬地に、色糸・金糸刺繍を中心に、彩り豊かに秋景模様が施されている。
白い部分は「白上げ」という技法で表現している。色を付けたくない生地の部分に防染糊(ぼうせんのり)を置いたうえで地染めすることで、様々な模様を描き出している。
振袖に配されているのは、紅葉、菊、萩、桔梗などの植物のほか、流水、簾(すだれ)鶉などの絵柄。菊葉から流れ出す川は、不老長寿の霊水を意味し、金糸で雫が刺繍されている。
特徴的なのは、諸大名や武家でも飼育されていた鶉を裾の部分に配している点だ。秋の早朝に冴えわたる鳴き声が美しいとされ、俳句では秋の季語になっている。室町時代にはすでに飼育、鑑賞されており、江戸時代に入って、武家はもとより町人にも愛好家が広まった。慶安2年(1649年)には、飼育方法や良い鳥の見分け方、鳴き声の良し悪しなどを記した飼育書「鶉書」が江戸で刊行されたほどだった。
振袖の持ち主だった武家女性の詳細はわからないが、もしかしたら鶉を愛でていたかもしれないと想像するのも楽しい。
- 所蔵館
- 江戸東京博物館
- 資料名
- 鼠縮緬地秋景鶉模様振袖
- 資料番号
- 11200047
- 大分類
- 工芸品
- 小分類
- 染織
- 種別
- 衣服
- 年代
- 江戸後期 19世紀
- 員数
- 1領
- 法量
- 157.7cm x 63.8cm x 97cm
- 江戸博デジタルアーカイブズ
- https://www.edohakuarchives.jp/detail-500.html
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