
豊嶋康子(1967-)は、1990年の個展以来、学校や家庭など社会の規準や価値、行動様式といった、私たちに内面化されている様々な制度と自身との関わりを可視化する作品を手がけてきました。その手法は、私たちの日常的な行為の延長線上にあり、実際に使用されている事物や仕組みへの「介入」と呼べるものです。
身近な日常品の意味作用や機能に介入をはかる初期の代表作《定規》では、共有された基準=定規に熱を与え、目盛を無効化することで、個々の素材に沿った個体差を生じさせます。《振込み》は、「銀行に「私」空間として口座をひらく」《口座開設》に連なる作品で、自身の口座にATMから振込みをする行為を可視化する試みです。銀行という枠組みを利用し、あるひとつのシステムに、自身を過剰に組み込むことで、記号化の進んだ社会において、自己の成り行きを示すことが目指されました。見えない裏面に過剰な細工が施された、近年の〈パネル〉シリーズは、「絵画」そして「美術館」という制度や条件に対する批評に満ちています。
豊嶋の制作は、いたるところシステム化と管理が進む現代社会において「私を形づくるものは何か」という問いを一貫して発するものです。作品の現れは多様ですが、すべてに共通する、自身をもってシステムに入り込んでそれを掴もうとする手法は、私たちに、自らの意志、そして自由について“自分で”考えるよう、あらためて促しているように思えます。
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 定規
- 作者名
- 豊嶋 康子
- 制作年
- 1996-99/2015
- 分類
- 彫刻・インスタレーションほか
- 材質・技法
- プラスチック定規
- 寸法
- インスタレーションサイズ可変
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 2015
- 作品/資料番号
- 2015-00-0009-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/8063/
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