《儀式》というこの作品について作者は、人間不在の均質化した儀式というものをネクタイとカラーによって象徴的に表したものであり、それは、反体制運動が盛んであった当時の時代風潮の産物であると述べている。そういえば、「ホワイトカラー」という言葉が「ブルーカラー」という言葉に対置され、特権的な響きをもって大半の国民の中流意識を煽った時代であった。ステンレスの台にしっかりと張られた革は、社会の制度や慣習に縛られた人間性を示しているのだろうか。この作品の意図は、このように単純明快、むしろ素朴といってよいものだが、社会批判の深刻さや鋭さはなく、作者特有のユーモアを感じさせる。わが国の戦後の抽象彫刻をリードしてきた建畠は、ヘンリー・ムーアらの影響を受けつつ様々な素材と形態の実験を通して自己の方向を模索し、徐々に具象的な側面を払拭していったが、軽やかに立っている2本のアルミニウムのネクタイは、 再現的なイメージでありながら、近年の彼の作品に特徴的な波状の曲線による造形を予告している。(K.M.)rn
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 儀式
- 作者名
- 建畠 覚造
- 制作年
- 1972
- 分類
- 彫刻・インスタレーションほか
- 材質・技法
- アルミニウム、ステンレス、革
- 寸法
- 125×100×80cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1979
- 作品/資料番号
- 1975-00-4097-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/1340/
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