島袋道浩は、身の回りを取り巻くものたちをテーマに作品を生みだしてきた。ささやかで、ごく普通の暮らし―そこにこどものような問いを投げかけ、アクションを起こす。その小さな企てを写真、ビデオ、文章などの形で記録し、その過程も含めて公開・展示していくのが彼のスタイルだ。例えば彼の出身地である明石のタコに、何かプレゼントをしようと思いたつ。ビデオ作品《そしてタコに東京観光を贈ることにした》は、明石沖で捕獲されたタコと島袋との東京珍道中を記録したものである。タコを連れた島袋と出会う町の人々は、彼の話に好奇心を刺激され、知らない間にこの冒険ファンタジーに取り込まれてしまう。《南半球のクリスマス》では、島袋は暖かい春の日にサンタクロースの仮装をして神戸、須磨の海岸に佇んでみせる。遠くて暑い南半球のクリスマスに思いを馳せる島袋の姿は、どこか滑稽であるが、自分と縁のない他者への想像力を喚起してやまない。このように島袋は常識を超えるアイデアと、独特のユーモアのセンスによって、日常生活に出来た結び目を軽やかに解きほぐし新たな視点を注ぎ込む。であるからこそ彼のアートは関わる人のみならず、それを見る人を魅了し、心地よい解放感をもたらす。天性のストーリーテラー島袋の作品を受け流すのも、笑って受容するのも鑑賞者に任されている。しかしそこで生まれた会話、驚きの波紋、無意識に続いていく余韻もまた、島袋が作りだした物語の一部なのである。(C.M.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 拾った絵の展覧会
- 作者名
- 島袋 道浩
- 制作年
- 1994
- 分類
- 写真
- 材質・技法
- 発色現像方式印画、テキスト
- 寸法
- 70×103cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 2007
- 作品/資料番号
- 2007-00-0011-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/5286/
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