無造作に壁に立てかけられた7本の木の列柱。各柱の中央には、それぞれに一本の細い幹が通っている。これはジュゼッペ・ペノーネが1970年前後より始めた「木」のシリーズの一点である。ペノーネは、1960年代末にイタリアで生まれた〈アルテ・ポーヴェラ〉(“貧しい芸術”という意味)という美術運動の最も若い世代に属し、またその基本理念をよく体現している作家と認められている。同じ時代に登場したミニマル・アートや日本の〈もの派〉にも通じるこの運動は、芸術作品の素材に着目し、それを基本要素にまで還元し、表現の可能性を追求する試みだった。この作品で、ペノーネは人間の手によって製材され、完全に規格品となった角材を節目を残して削っていき、木の内部に隠れていた幹を掘り当てている。それは、人の手によって一度は滅ぼされてしまった樹木の年輪をーつーつ剥がしながら、その歴史に耳を傾け、その生命の在り処を辿る試みとも言えるだろう。「材木の節から、どの部分で樹木が天にそびえていたのか、どの部分で南からの光を吸収していたのか、それが鬱蒼とした森のなかに生まれたのか、草原にうまれたのか、森の端に生まれたのかがわかる」。開かれた本の形をしたような、この木の柱から読み取ることができるのは、実に様々な自然の物語である。(C.M.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 木の書物 [Albero Libro]
- 作者名
- ジュゼッペ・ペノーネ
- 制作年
- 1986-89
- 分類
- 彫刻・インスタレーションほか
- 材質・技法
- 木
- 寸法
- 403×181cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1997
- 作品/資料番号
- 1997-00-0024-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/4516/
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