何も描かれていない白いカンヴァス。しかし、その表面には細かい起伏が幾重にも連なり不思議なリズム感を生み出している。本来、平らであるべき絵画のカンヴァスに、釘を使って凹凸を作り上げた本作は、1960年前後より開始した連作の中からの一枚である。当時ミラノの美術界は実験的な空気にあふれ、カステッラーニ自身も前衛雑誌『アジムート(方位)』を創刊するなど芸術論議の一翼を担っていた。
ルーチョ・フォンタナがカンヴァスを切り裂いてその向こうに広がる現実空間を取り込んだのに続き、カステッラーニの探究は絵画と外界を隔てる一枚の皮膜である「表面」に向けられた。カンヴァスに起伏を作ることによって曖昧な空間領域を生み出したのも、その上をモノクロームで均一に塗り込め微妙な陰影を映し出したのも、「表面」の存在を強調するために他ならない。《拡散する表面》というタイトルが示唆するように規則的な起伏の反復は、カンヴァスという枠を越えて無限に広がっていく。(C.M.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 拡散する表面 [Superficie Divergente]
- 作者名
- エンリコ・カステッラーニ
- 制作年
- 1966
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- 油彩、釘/カンヴァス
- 寸法
- 200×200cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1992
- 作品/資料番号
- 1992-00-0065-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/3989/
東京都現代美術館のその他の収蔵品 (8080)
RIS
一原 有徳
東京都現代美術館
[自画像]
福島 秀子
東京都現代美術館
バイオゴード・プロセス 1966.12.15 草月会館ホール
神田 昭夫
東京都現代美術館
[模型]
アンソニー・カロ
東京都現代美術館
[倒立する女]
石井 茂雄
東京都現代美術館
三田村信行『オオカミがきた』(講談社、1976)挿画 [pp.88-89]
中村 宏
東京都現代美術館
雪の山路
島野 重之
東京都現代美術館
スティング
アンディ・ウォーホル
東京都現代美術館
通過
駒井 哲郎
東京都現代美術館
[小清水漸作品写真集 2](3/74)
小清水 漸
東京都現代美術館
国鉄労働者(機関区庫内手)
新海 覚雄
東京都現代美術館
鉛筆
豊嶋 康子
東京都現代美術館
Rainbow Volcano[『Rainbow Landscape』より]
靉嘔
東京都現代美術館
JEU D’OBJET 1 玩具
加藤 太郎
東京都現代美術館
寝覚岩壁
木和村 創爾郎
東京都現代美術館
[Viva! Fluxus 記録写真] 塩見允枝子《Viva! フルクサス》 観客
安齊 重男
東京都現代美術館