大きな画面一杯にハートが描かれている。緑系の、むしろ意外な色彩に彩られたハートには黒い影が宿り、黒い血が滴っているように見える。ハートは、バス・ローブや工具などと並んでジム・ダインの最も重要なモティーフであり、1965年にシェイクスピア劇『真夏の夜の夢』の舞台美術で初めて用いて以来、繰り返し取り上げられている。心臓の形に起源を持つハートの形象は、古くから愛の象徴とされる。画家ダインは、その愛の全て、溢れる感情の全てをこのモティーフに注ぎ込んでいる。彼にとって、ハートを描くことは「絵画」を描くことに他ならない。抽象と具象という二分法を超越するこの形象の象徴性が、これを可能にしている。ダインは、1950年代末にハプニング(パフォーマンス)によってデビューした後、60年代には日常的な事物をモティーフとする絵画などにより、ポップ・アートの作家として注目された。だが、当初からその芸術は個人的で自伝的な要素を顕著な特徴としており、70年代以降は表現主義の伝統を今日のアメリカ絵画に再生させた力強い画家として評価されている。本作が描かれた1981年に、画家は友人の精神的危機に接し、つらい日々を過ごしていたという。(Y.M.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 晩冬のロマンス
- 作者名
- ジム・ダイン
- 制作年
- 1981
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- アクリル/カンヴァス
- 寸法
- 244×273cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1992
- 作品/資料番号
- 1992-00-0035-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/3960/
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