森村は常に見る者を驚かせる作品を発表するが、その多くの共通項目として「(森村の)セルフポートレイト」「過去の美術作品やマス・メディアのイメージの引用」「写真の利用」がある。これに近年「コンピュータ・グラフィックスの利用」が加わった。本作品について彼はまずセザンヌの《リンゴとオレンジの静物》(1895-1900年頃、オルセー美術館蔵)の写真を基に、三次元の模型を作る。そしてその写真をとり、コンピュータとイメージスキャナを使ってリンゴの数を変えたり、メークアップした自分の顔写真を果物の中に合成する(彼の表情は恍惚としている)。こうした制作過程は森村がセザンヌの絵画世界を実体験する作業であり、作品は彼によるセザンヌへのオマージュなのである。タイトル「批評とその愛人」は翌年発表された《美術史の娘》と対応関係にある。見慣れた作品に加えられた変化は見る者にある種の驚きと笑いを与えることになる。森村は1985年にゴッホの自画像に扮した自身の写真を発表して現代美術界で一躍名を知られ、海外での評価も高く、最近ではビデオや雑誌など様々な媒体により活動の領域を広めつつある。(Y.H.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 批評とその愛人 A、B、C
- 作者名
- 森村 泰昌
- 制作年
- 1990
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- 発色現像方式印画、透明メディウム
- 寸法
- 3点組:各180×225cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1992
- 作品/資料番号
- 1992-00-0029-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/3953/
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