抽象表現主義の隆盛が続く1940年代終わりから50年代の約6年間をフランスで過ごしたことが、アメリカの戦後美術におけるケリーの位置づけを独特のものにしている。彼はそこでダダやシュルレアリスムを検討し、オートマティスムやコラージュを試みた。この時代最も注目すべき手法は窓枠や影をそのまま写しとって描いたトレース絵画であり、そこには自らの創出した構図ではなく既にあるものを利用する、前衛的な制作態度をみることができる。
アメリカに戻ったケリーは、フランク・ステラやジャスパー・ジョーンズが違う経路を辿って同じ結論に至ったことに驚いたという。その後の作品は全く物を再現しないものになり、カラー・パネル絵画といわれる一連の作品が制作されるようになる。そこでは偶然に決められた配色と光学的な振幅をひきおこさない均一な色調によって、具体的な現実としての色を定着することが目指された。この作品でも、やや明るめの明度に均衡した三原色が我々の視界を圧し広げるかのようにしてその領分を保ち続けている。
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 赤・黄・青
- 作者名
- エルズワース・ケリー
- 制作年
- 1966
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- 油彩/カンヴァス
- 寸法
- 165.3×495.8cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1991
- 作品/資料番号
- 1992-00-0017-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/3935/
東京都現代美術館のその他の収蔵品 (8080)
水路のプラン
櫃田 伸也
東京都現代美術館
Surface is the Between - Between Vertical and Horizon - “Paper Between Wire Net and Stain”
井田 照一
東京都現代美術館
[アクシダン][『アクシダン』より]
菅井 汲
東京都現代美術館
Light of
蜷川 実花
東京都現代美術館
五色原[『日本アルプス十二題』より]
吉田 博
東京都現代美術館
ヴィーナス
三木 富雄
東京都現代美術館
核と物
藤井 光
東京都現代美術館
[apple yard 27]
三木 富雄
東京都現代美術館
アップル[『ミックスト・フルーツ』より]
池田 満寿夫
東京都現代美術館
宇宙エーテル体 Ⅰ
松本 陽子
東京都現代美術館
[白椿の図]
鶴岡 政男
東京都現代美術館
地蔵建立 土佐、1995年8月21日
小沢 剛
東京都現代美術館
画家と家族
森 芳雄
東京都現代美術館
[apple yard 37]
三木 富雄
東京都現代美術館
PEM (p)
一原 有徳
東京都現代美術館
リサイクリング・サークル
クリスチャン・マークレー
東京都現代美術館