アメリカへ移住したユダヤ系ロシア人ロスコ(ロスコヴィッチ)の前半生は、世界大恐慌に巻き込まれた苦難の時代であった。苦しい生活と同様に画業もまた試行錯誤を重ね、ようやく自己のスタイルに到達した時には齢50の坂を越えようとしていた。それは太陽を背後に隠した雲、あるいは光を内に秘めた霧を連想させるような色彩の帯が画面に漂う独特な抽象絵画である。《赤の中の黒》もその中のひとつ、50代半ばの最も円熟した時期のもので、赤と黒の対比、とりわけ明快な黒の色層が特徴的な1枚である。この作品に見られるような、人をいつのまにか画中へ引き込んでいく一種神秘的、眼想的な世界は次第に理解者を増やし、作者58歳の時にニューヨーク近代美術館で回顧展が開催された。その後も大器晩成の画家らしく精力的に活動していたが、68歳で大動脈癌を発病すると、高齢で不遇な芸術家を援助するためにロスコ財団を設立し、翌年、ニューヨークのスタジオで人知れず自殺を遂げた。(M.S.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 赤の中の黒
- 作者名
- マーク・ロスコ
- 制作年
- 1958
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- 油彩/カンヴァス
- 寸法
- 176.5×233.7cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1991
- 作品/資料番号
- 1992-00-0015-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
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