戦後間もない1948年に日本画の革新を標傍してパンリアル美術協会を結成した三上誠の作品は、画題、素材、技法といったあらゆる側面から見直しが図られ、一見日本画とは見えないものである。本作品では、日本画の顔料を用いながらも、段ボールや木切れといった荒々しい素材を併置し、同時に平面性をも逸脱している。また、描くことを敢えて止めて、構築的な手段によって制作されている。まさに、日本画的な要素を徹底的に排除した作品といえよう。ここで彼が達成したのは、因習的な日本画の在り方の否定と、日本画材の可能性の拡大であった。日本画を一旦解体することによって、根底から見直そうとしていたのである。この後、彼は「他の材料の試験はもういいだろう。自分本来の仕事にかえるべきだろう。」と日記に記している。その言葉のとおり60年代半ば以降にはこうした成果を基としながら、線を主体とした作風へと展開してゆくのである。(H.K.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- ANTI-SEX
- 作者名
- 三上 誠
- 制作年
- 1962
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- 顔料、木、紙、ダンボール/板
- 寸法
- 124.2×184cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1991
- 作品/資料番号
- 1992-00-0001-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/3909/
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