オーロラのように空中を浮遊する色の広がり。赤、青、紫、そして黄色。一つひとつの色が重なりあいながら、新しい色を生んでゆく。絵具という物質ではなく、まるで光のように透明な色が、明暗のリズムを刻みながら揺れている。この作品は、横が5メートルを超える大画面の絵だが、少しも威圧的なところがない。透明な色の重なりは、絵の中に奥行きを生み出し、微風に揺らぐ光の空間へとわれわれを誘い込む。絵に近づき、色の変化をゆっくりと追いかけて見つめているうちに、われわれは画面との距離感を失い、日常の空間秩序から解放される。根岸芳郎は、1970年代に渡米し、抽象表現主義の作家、マーク・ロスコやモーリス・ルイスらの絵画に深い共感を抱いた。また、ボストン美術館所蔵の中国宋代の水墨画や長谷川等伯、俵屋宗達らの「豊かで奥行きある空間」に深い感銘を受けている。ロスコの抽象画にせよ等伯の水墨画にせよ、そこに実現されている空間の奥行きは、西洋の科学的遠近法の固定的な世界とは全く異なっている。根岸が追求しているのも、ロスコや水墨画と同様に主観的で自由な幻想を許す変幻自在の空間であろう。それを実現する精妙な色彩表現に根岸の絵画の特色がある。(Y.S.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 87-1-16
- 作者名
- 根岸 芳郎
- 制作年
- 1987
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- アクリル/カンヴァス
- 寸法
- 232×540cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1991
- 作品/資料番号
- 1991-00-0029-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/3870/
東京都現代美術館のその他の収蔵品 (7905)
赤瀬川原平「千円札拡大図」
平田 実
東京都現代美術館
人魚
オノサト トシノブ
東京都現代美術館
搭乗券(パリ ー マラケシュ)
ガブリエル・オロスコ
東京都現代美術館
「ダサラタ王のなげき」[『ラーマーヤナ』二の巻より]
駒井 哲郎
東京都現代美術館
Note – two square, eyesight / 視野
池田 良二
東京都現代美術館
スターゲート
泉 太郎
東京都現代美術館
SON
一原 有徳
東京都現代美術館
赤の丸
オノサト トシノブ
東京都現代美術館
[吉田克朗関係資料一括]
吉田 克朗
東京都現代美術館
もたれて立つ裸婦
飯田 三吾
東京都現代美術館
戦争の津波
草間 彌生
東京都現代美術館
[戦車隊(進撃する戦車隊)]
藤田 嗣治
東京都現代美術館
0.9×19.6×1.2
冨井 大裕
東京都現代美術館
「ニーマイヤー作品シリーズ」より 《カノアスの邸宅》
ホンマ タカシ
東京都現代美術館
Conséquence 5[『Conséquence』より]
木原 康行
東京都現代美術館
1970年代美術記録写真集 「三島喜美代 1972年7月21日 南画廊」
安齊 重男
東京都現代美術館