山頂からたなびく金色の雲は噴煙なのだろうか。巨大な画面一杯に描かれた山は、地殻の裏側から今なお押し上げられつつあるかのようだ。暗い空と厚い地殻に抑えつけられたエネルギーが捌け口を求めてくすぶっている。しかし画面からうける印象は暗く壮大であるばかりというわけでもない。超広角のレンズで捉えたかのように湾曲する風景にはユーモアが漂っており、家屋は振り落とされぬよう必死で地表にしがみついているといった按配である。樹木の踊るような姿は形・色ともに様々で、互いに言葉を交わしあっているかのようだ。ここには荒ぶる自然の力と稚気あふれる表現の両者が統御されぬまま同居している。圧倒的な力を表現しようとしているだけならば必ずしも成功とはいえまいが、作者が意図しているのはむしろ、仄暗く暖かな場所へと観者をつつみこむことなのだろう。1977年の春季創画展出品作にはじまる、この作家のライフワークとも言うべき《路》のシリーズには、自然に向ける暖かな眼差しとともに、そのアニミスティックな自然観も窺うことができる。(R.N.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 路・冬日
- 作者名
- 平松 礼二
- 制作年
- 1978
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- 紙本彩色
- 寸法
- 210×360cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1989
- 作品/資料番号
- 1989-00-0044-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/3260/