星条旗はためくアラモ砦で野球に興じる人々を、中国のプロペラ機、虎そして「不自由の女神」が襲いかかっている。1966年といえば、文化大革命のさなか。「毛沢東思想のファナティックとアメリカのオプティミズムの谷間で繁栄していた日本の立場が、60年代の若者の中でこのように見えたのだ」という。しかし、これを社会的なルポルタージュ、あるいはまた、前年より着手した漫画に根ざす日本的なポップ・アートに色分けするのは早計であろう。幼時より親しんだ映画などの断片的記憶を寄せ集めて構成する手法は、本質的にシュルレアリスムのものであり、砂漠のうえを横断する長く引かれた二つの影が、土着的でキッチュな画面を白昼夢のような乾いた空間に変質させている。砦の門の旭マークは、ポスト読売アンデパンダンの「観光芸術研究所」時代を記すよすがだが、この作品に我々はその後のイタリア滞在を経て先鋭化されることになる立石の極めて複合的な世界の凝縮を見るのである。(N.S.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- アラモのスフィンクス
- 作者名
- 立石 紘一
- 制作年
- 1966
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- 油彩/カンヴァス
- 寸法
- 130.3×162cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1989
- 作品/資料番号
- 1989-00-0004-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/3216/
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