横尾忠則のポスター作品ほど1960年代の雰囲気をつたえてくれる作品はない。当時さかんであった舞踏や演劇、いわゆるアングラといわれたサブ・カルチャーの熱気をよくつたえてくれる。本作品は土方巽の舞踏公演会のポスターである。舞踏は60年代を象徴する芸術上の動きであったが、その中でも土方の舞踏はその独自の表現から多くの人の注目をあび、その死後に与えた影響も大きいものがあった。題名にあるムッシュー・シブサワは土方と親しかった澁澤龍彦であろう。1964年のオリンピック開催の年に走りはじめた新幹線を上方に紋章のごとく扱い、日常見慣れた鮭缶を下方にあしらい、北斎の波や日章旗のモティーフを使っている。下方の婦人二人はフォンテンブロー派の作品《ガブリエル・デストレ入浴の図》からの引用である。日常と芸術、日本と西洋と様々な要素を一つの画面にいれこんで当時の文化のエネルギーを感じさせる作品となっている。画家宣言をした後の1987年にタイトルも《心霊のポップコーン》と改めて、この作品を油彩で描いていて、作者にとっても愛着のある作品と思われる。(I.K.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- A LA MAISON DE M.CIVEÇAWA
- 作者名
- 横尾 忠則
- 制作年
- 1965
- 分類
- 版画
- 材質・技法
- シルクスクリーン
- 寸法
- 104×73.7cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1983
- 作品/資料番号
- 1975-00-7726-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/3011/
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