版画、特に銅版画の場合はどの技法を使用するかによって、その作品の印象は全く異なったものになる。黒から白への微妙な諧調を使用して作られたこの作品は、黒の背景の中に様々な形態が浮かび上がり浮遊している。目を閉じればこれらの形態は一瞬のうちに消え去るごとく儚いもののようにも見える。腐食の度合いによりその色調を変えることのできるアクアチントの技法は、面としての表現も可能であり、この作品においてはその技法が作者の意図を見事に伝えている。駒井は銅版画を日本に根付かせた功労者の一人であり、多様な技法を駆使して多くの優れた銅版画作品を残した。この初期の作品では、彼の「夢こそ現実であればよい」という夢見がちな面が強く、空中に浮遊する形態も何か玩具のようであり、ノスタルジックな気持ちを誘う。これら一群の夢をテーマとした作品の後、作者はビュランを使用した厳しい線による作品を発表し、一つの転機を迎えるのである。
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 束の間の幻影
- 作者名
- 駒井 哲郎
- 制作年
- 1951
- 分類
- 版画
- 材質・技法
- アクアチント、エッチング、ドライポイント
- 寸法
- 18×29cm
- エディション等
- Ed. Ⅴ/Ⅹ(画面外左下)
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1977
- 作品/資料番号
- 1975-00-6410-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/1977/
東京都現代美術館のその他の収蔵品 (7905)
d’encres D
園山 晴己
東京都現代美術館
Seed Project センダングサ・Bidens biternata Merr. et Sherff 2014年12月3日 東京都江東区木場公園
太田 三郎
東京都現代美術館
母
鈴木 賢二
東京都現代美術館
Start
井田 照一
東京都現代美術館
「APN」(『アサヒグラフ』1953年12月16日号)のための構成
山口 勝弘/大辻 清司
東京都現代美術館
人間・千差万別
辻 光典
東京都現代美術館
「ランカの魔王ラーヴァナ」[『ラーマーヤナ』三の巻より]
駒井 哲郎
東京都現代美術館
犬・魚
岡村 桂三郎
東京都現代美術館
No.18
両角 修
東京都現代美術館
リズム
鶴岡 政男
東京都現代美術館
Concentration 7
木原 康行
東京都現代美術館
[Viva! Fluxus 記録写真] アリソン・ノールズ《ニュースペーパー・ミュージック》 エリック・アンダーセン ベン・パターソン クリストフ・シャルル 柴田暦 植松琢磨 塩見允枝子
安齊 重男
東京都現代美術館
[斎藤義重作品写真集:ファイル 1] 96/127
斎藤 義重
東京都現代美術館
赤いキリスト
岡本 信治郎
東京都現代美術館
1970年代美術記録写真集 「菅木志雄 1982年9月22日 かねこ・あーとG1」
安齊 重男
東京都現代美術館
8つの作品(5)[『高橋秀版画集』より]
高橋 秀
東京都現代美術館