
版画、特に銅版画の場合はどの技法を使用するかによって、その作品の印象は全く異なったものになる。黒から白への微妙な諧調を使用して作られたこの作品は、黒の背景の中に様々な形態が浮かび上がり浮遊している。目を閉じればこれらの形態は一瞬のうちに消え去るごとく儚いもののようにも見える。腐食の度合いによりその色調を変えることのできるアクアチントの技法は、面としての表現も可能であり、この作品においてはその技法が作者の意図を見事に伝えている。駒井は銅版画を日本に根付かせた功労者の一人であり、多様な技法を駆使して多くの優れた銅版画作品を残した。この初期の作品では、彼の「夢こそ現実であればよい」という夢見がちな面が強く、空中に浮遊する形態も何か玩具のようであり、ノスタルジックな気持ちを誘う。これら一群の夢をテーマとした作品の後、作者はビュランを使用した厳しい線による作品を発表し、一つの転機を迎えるのである。
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 束の間の幻影
- 作者名
- 駒井 哲郎
- 制作年
- 1951
- 分類
- 版画
- 材質・技法
- アクアチント、エッチング、ドライポイント
- 寸法
- 18×29cm
- エディション等
- Ed. Ⅴ/Ⅹ(画面外左下)
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1977
- 作品/資料番号
- 1975-00-6410-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/1977/
東京都現代美術館のその他の収蔵品 (8084)
![作品画像:写仏 [ワタリドリ計画「シリーズ 深川の旅」]](https://museumcollection.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/21927.jpg)
写仏 [ワタリドリ計画「シリーズ 深川の旅」]
麻生 知子
東京都現代美術館

風景
高橋 惟一
東京都現代美術館
![作品画像:冬の光[『RED HORIZON』より]](https://museumcollection.tokyo/wp-content/uploads/2025/06/16494.jpg)
冬の光[『RED HORIZON』より]
田中 稔之
東京都現代美術館

小鳥たち
駒井 哲郎
東京都現代美術館

横向きの裸婦
飯田 三吾
東京都現代美術館

Memory
三島 喜美代
東京都現代美術館

「APN」(『アサヒグラフ』1953年6月10日号)のための構成
山口 勝弘/大辻 清司
東京都現代美術館
![作品画像:[吉田克朗関係資料一括]](https://museumcollection.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/24776.jpg)
[吉田克朗関係資料一括]
吉田 克朗
東京都現代美術館

デッサン(人物)
長谷川 利行
東京都現代美術館

河岸
駒井 哲郎
東京都現代美術館

十字架の道 9
村上 友晴
東京都現代美術館
![作品画像:春の祭典 [Sacre de Printemps]](https://museumcollection.tokyo/wp-content/uploads/2025/06/15199-820x1024.jpg)
春の祭典 [Sacre de Printemps]
スタンリー・ウィリアム・ヘイター
東京都現代美術館

大正12年9月1日
鹿子木 孟郎
東京都現代美術館

JEU D’OBJET 1 くさび
加藤 太郎
東京都現代美術館

’82 ベニス・ビエンナーレプランニング 2
川俣 正
東京都現代美術館

蝕果実
駒井 哲郎
東京都現代美術館