森芳雄は、戦前にパリで修業し、生涯にわたって西洋のアカデミズムの本領である人物画・裸体画を描き続けたが、1950年代に様式上の転機を迎えた。明暗の対比によって画面を大きく分割するやり方は依然として存続するが、流れるような輪郭線により動きを与えられていた人物像が、直線による抽象的な構造をもつようになる。このような変化は、当時、日本に伝えられた欧米の抽象絵画の影響によるものであり、従来の古典主義的な造形表現からの脱却を示すものであったといえよう。本作品は1954-56年の作であるが、50年代初頭の作品に比べ、人物の形態がやや丸みを帯び、写実的な性格が強い。しかし、粉飾のない背景に極端に大きさの異なる四つの人物像が幾何学的に配され、抽象性への志向を感じさせる。それまでの作品に見られた人物と背景を区分する描線はここでは見られず、それによって、鋭角的なフォルムを持ちながらも家族の温かみを感じさせる人物像となっている。(K.H.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 画家と家族
- 作者名
- 森 芳雄
- 制作年
- 1954-56
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- 油彩/カンヴァス
- 寸法
- 162.2×130.3cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1984
- 作品/資料番号
- 1975-00-0523-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/551/
東京都現代美術館のその他の収蔵品 (8080)
リフレクション
ソ・ドホ
東京都現代美術館
坑夫
大宮 昇
東京都現代美術館
線のアンソロジーⅠ
靉嘔
東京都現代美術館
テーブル スカルプチャー[《御物補遺 BRONZE VERSION》より]
岡崎 和郎
東京都現代美術館
マリリン・モンロー
アンディ・ウォーホル
東京都現代美術館
『博物譜』(26/28)
恩地 孝四郎
東京都現代美術館
キリスト哀悼
河野 通勢
東京都現代美術館
風景 ’74 我ら兄弟たち Ⅰ
坂爪 厚生
東京都現代美術館
[小清水漸作品写真集 1](60/67)
小清水 漸
東京都現代美術館
AIWIP-13
辰野 登恵子
東京都現代美術館
[スケッチブック 2] (1/19)
黒田 古郷
東京都現代美術館
[吉田克朗関係資料一括]
吉田 克朗
東京都現代美術館
The Voice-Over
山川 冬樹
東京都現代美術館
今日の芸術=1 マース・カニングハム ダンス・カンパニイ[パンフレット]
東京都現代美術館
平面作品のためのエスキース1
野村 和弘
東京都現代美術館
[斎藤義重作品写真集:ファイル 1] 110/127
斎藤 義重
東京都現代美術館