白い綿布に黒いアクリルがにじんだ、モノクロームの世界、にじみは布の縫い目を越えて斜めに進み、一種光沢を帯びた黒の帯は圧倒的な存在感を持つ。それはまるで雨上がりのアスファルト道路の表面のようである。光沢のある黒からつやを失った層、褐色から無地の層へとにじみは段階的に広がり、見る者は時間の経過に伴う浸透を追体験し、そして綿布にアクリルをまく作家の存在、身体性を感じる。榎倉は<もの派>とは一線を画しながら、本質的に外界(現実世界、事物、風景)と内界(身体、知覚、感性)との触れ合い、交流を追究してきた。1970年代初頭から紙に廃油をしみ込ませるという状況的な展示やパフォーマンス中心に活動していた彼は、70年代後半から平面に取り組みはじめる。この〈Figure〉シリーズは80年代当初よりはじまり、「Figure」とは事物の総体的な姿であって、絵画それ自体ではなく、それを囲む空間を含めた世界であると彼は言う。この作品も展示の度に彼自身と展示空間、素材(綿布、アクリル)との豊かな緩衝地帯を生み出すのである。
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- Figure B – No.25
- 作者名
- 榎倉 康二
- 制作年
- 1984
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- アクリル塗料/綿布
- 寸法
- 249×333.5cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1987
- 作品/資料番号
- 1975-00-0114-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/116/
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