
この作品は写真ではない。上田が油彩とアクリル絵具を使って、カンヴァスに描いたものである。この絵のすぐ前に立つと、まるで写真であるかのように卵は生々しい。しかしより近づくと、これが手仕事であり、絵具の集合体であることがよく判る。卵を描く時、彼は時に200個もの卵を実際に割って、それを写真に撮影するという。そしてその何枚もの写真のスライドをカンヴァスの上に映し出し、組み合わせて、カメラの一瞬ではとらえきれない現実を彼は自分の目と手により再構成するのである。それはリアリズムの局地であり、トリック的でもある。上田は1970年代より卵やジャムなど流動する物質のリアルな表現に取り組んでいる。1970年代のアメリカを中心に登場した〈スーパー・リアリズム〉の多くが社会や時代に目を向けたのに対し、上田はあくまでも自分に身近なものを描く。卵黄に映る矩形はアトリエの窓の影である。日常的な光景はここに崇高さをも獲得しているようだ。(Y.H.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- なま玉子 B
- 作者名
- 上田 薫
- 制作年
- 1976
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- 油彩、アクリル/カンヴァス
- 寸法
- 227×182cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1978
- 作品/資料番号
- 1975-00-0104-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/106/
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