川瀬巴水(1883~1957)は、大正から昭和にかけて600点以上の版画を制作し、活躍した版画家である。そのほとんどが風景画だったため、江戸時代に風景画を多く手がけた歌川広重にたとえ、「昭和の広重」とも呼ばれていた。
この版画は、隅田川に合流する仙台堀川河口に架かっていた、上の橋を描いたものである。空の黄色と、川水の青さの対比で、夏の日暮れが美しく表現されている。巴水は作品の解説で、「このあたりは北斎の『隅田川両岸一覧』の当時がそぞろに想い浮ばれます」と、この地の特徴を、北斎の絵を例に挙げて述べている。本資料と絵本「隅田川両岸一覧」の直接の関連は見出すことはできない。しかし、橋の下に隅田川の西岸を覗く構図は、北斎の別の絵である、「冨嶽三十六景 深川万年橋」の万年橋の下から遠くの富士山を望む図様によく似ている。
北斎の絵本の約120年後の1920年(大正9年)、上の橋の風景から巴水は江戸を想像した。しかし、現在この場所に立っても、高い堤防で隅田川の川面は見られない。上の橋自体がすでに無く、今では橋の親柱だけが歩道脇に残っている。巴水が北斎の時代を思ったのとは異なり、我々が大正の東京の光景を想像することは非常に困難である。
- 所蔵館
- 江戸東京博物館
- 資料名
- 東京十二題 深川上の橋
- 資料番号
- 94203203
- 種別
- 近代木版
- 作者(文書は差出人)
- 川瀬巴水/画
- 発行所(文書は宛先)
- ワタナベ/版
- 年代
- 大正期 大正9年夏 1920 20世紀
- 員数
- 1枚
- 法量
- 26.2cm x 38.4cm
- 江戸博デジタルアーカイブズ
- https://www.edohakuarchives.jp/detail-10466.html
作者について
川瀬巴水 / KAWASE Hasui
from Art Platform Japan: https://artplatform.go.jp/resources/collections/artists/A2447
- 生年月日
- 1883
- 生地
- 東京府芝区(現・港区)
- 没年月日
- 1957-11-07
- 活動領域
- 版画
- 性別
- 男性
- 更新日
- 2023-02-13
Identifiers
- APJ ID
- A2447
- VIAF ID
- 308271760
- AKL ID
- 00002776
- NDL ID
- 00107376
- Wikidata ID
- Q344166
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