
3月3日の雛祭りは、女の子の健康な成長を祈る節句として定着しているが、その起源は、平安時代にまでさかのぼる。節句は、紙で人形(ひとがた)につくった形代(かたしろ)に供え物をして無病息災を祈る日であった。紙の人形は後に雛人形となり、貴族社会で女の子の遊び道具となった。
一般家庭に普及したのは江戸時代に入ってからで、段飾りをするようになったのは、元禄年間(1688~1704年)以降。江戸町人の家では、三段から五段飾りが主となり、将軍家や大名家では、嫁入り道具の一つとして、婚礼調度品一式を精緻なミニチュアに仕立て、節句の日には座敷いっぱいに飾った。図版には、五段飾りの雛人形が描かれている。内裏雛やお供の随身(ずいじん)、五人の女性による囃子方のほか、三人官女に代わるものなのか、現代の雛飾りではあまりなじみのない、鯛を抱えた恵比寿、猿のお面や鈴を手にして猿曳(さるひき)を思わせる装いの子ども、段飾りの下には御伽(おとぎ)犬(犬張り子)が見られる。
御伽犬は、室町時代にはすでに貴族階級の嫁入り道具の一つだった。安産を祈るために産室に飾られ、江戸時代には庶民の間で安産と子どもの健康を祈るものとなり、玩具として定着した。女の子の健やかな成長を祝う雛祭りに飾られるのもうなずける。
雛飾り代わりにこの絵を飾った家庭もあったことだろう。
- 所蔵館
- 江戸東京博物館
- 資料名
- 段飾雛図
- 資料番号
- 90200060
- 種別
- 錦絵
- 作者(文書は差出人)
- 溪斎英泉/画
- 発行所(文書は宛先)
- 大黒屋弥助/版
- 年代
- 江戸時代 19世紀
- 員数
- 1枚
- 法量
- 73.7cm x 24.8cm
- 江戸博デジタルアーカイブズ
- https://www.edohakuarchives.jp/detail-4341.html
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