
名所江戸百景 玉川堤の花 One Hundred Famous Views of Edo: Cherry Blossom on the Banks of the Tamagawa River
歌川広重(初代)/画 UTAGAWA Hiroshige
江戸の街づくりにとって、水の確保は重要な課題だった。幕府は江戸時代初期に神田上水を整備するが、それだけでは江戸の全域に水を供給するには不十分であった。そこで新たな水源に選ばれたのが、水量豊富な多摩川である。1654年(承応3年)に完成したと伝えられる玉川上水は、多摩川中流域の羽村の取水口から武蔵野を43キロにわたって横切り、江戸市中に水を届けた。 玉川上水は、生活に必要な飲料水とともに、行楽の地も人々に提供した。例えば、小金井周辺の玉川上水沿いには、江戸時代中期の元文年間頃に植えられた桜並木が「小金井桜」として名所記などで紹介されて評判を呼び、江戸を代表する名所となった。 これにあやかってか、甲州街道沿いの内藤新宿(現在の新宿2丁目付近)でも、上水が地下水路の暗渠となる直前の場所に桜が植えられた。1856年(安政3年)2月のことである。 本資料は、その桜と花見客を描いた錦絵で、桜の植樹と同年同月に出版された。恐らくは、新名所が誕生する前から制作に取りかかり、最新の観光スポットの宣伝広告の役目を担ったのだろう。広重はこの光景が誕生する前に、脳裏に浮かべた「幻の名所」を描いたのであった。 なお、この桜は翌3月に撤去を命じられ、姿を消す。僅か1か月で潰えたという点でも「幻の名所」であった。
- 所蔵館
- 江戸東京博物館
- 資料名
- 名所江戸百景 玉川堤の花
- 資料番号
- 83200042
- 種別
- 錦絵
- 作者(文書は差出人)
- 歌川広重(初代)/画
- 発行所(文書は宛先)
- 魚屋栄吉/版
- 年代
- 江戸末期 安政3年2月 1856 19世紀
- 員数
- 1枚
- 法量
- 36cm x 24.5cm
- 備考
- 83200001~832000120名所江戸百景 全揃
- 江戸博デジタルアーカイブズ
- https://www.edohakuarchives.jp/detail-1711.html
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