1871年(明治4年)、汐留の地に新橋停車場が誕生した。翌年には、開港場・横浜との間を結ぶ鉄道が開業した。本図は高輪付近を蒸気車が疾走する様子を描いた錦絵だが、注目したいのは、レールが敷かれた海上の細長い堤(つつみ)である。
新橋―横浜間の約29キロメートルのうち、本芝から高輪海岸を経て品川に至るまでの区間は、兵部省の反対もあって鉄道用地が確保できなかった。そのため、海に堤を築き、その上にレールを敷設した。堤の長さ約2.7キロメートル、幅平均6.4メートル、品川の御殿山や八ツ山を切り崩した土砂により築造された。
また、本図からは、堤の側面が石垣になっていることがわかるが、これには江戸防備のため、幕末に建造された品川台場の石垣が、一部流用された。本図の作成は鉄道が開業する前年で、海上に築かれた堤が早くから、当時の鉄道を描く上での特徴的な景観とみられていたことがうかがえる。
海上に敷かれたレールをたどると、新橋停車場に行き着く。新橋停車場の遺構は、旧国鉄汐留貨物駅跡地の再開発に伴い、発掘調査が行われた汐留遺跡から発見された。
- 所蔵館
- 江戸東京博物館
- 資料名
- 東京高輪海岸蒸気車鉄道の図
- 資料番号
- 07200611-07200613
- 種別
- 錦絵
- 作者(文書は差出人)
- 歌川広重(3代)/画
- 年代
- 明治初期 明治4年10月 1871 19世紀
- 員数
- 3枚続
- 江戸博デジタルアーカイブズ
- https://www.edohakuarchives.jp/detail-83.html
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