紅筆を持てる女 Woman Holding a Lipstick Brush
橋口五葉/画 小池政造/彫 染川勘造/摺 Hashiguchi Goyo, Koike Seizo, Somekawa Kanzo
手鏡をのぞきながら、舞妓が唇にそっと紅をさす姿を描いた木版画。結い上げられた艶やかな黒髪は、無数の線の調子を微妙に変えながら、本当に髪の毛一本一本がそこにあるかのように生え際から見事に表されている。絞り染めの髪飾りも緻密に書き込まれ、彫刻刀で彫られた版木の凹凸によってこの繊細な表現がなされているのは驚きだ。
帯や手鏡には濃い赤が、口紅や襟、髪飾りにはやや淡い朱色が使われている。着物の緑や、柄に使われる青が、画題にもある口紅はもちろん、画面の中の赤い色を一層鮮やかなものにしている。そしてこれらの色彩が引き立てるのは、舞妓の透き通るような白い肌の美しさだ。さらに背景には雲母擦(きらずり)と呼ばれる技法で光沢が生まれ、画面に華やかさを加えている。
作画者の橋口五葉は、東京美術学校西洋画科在学中から雑誌の挿絵を描き、夏目漱石の『吾輩ハ猫デアル』をはじめ多くの書籍の装丁を手掛けた。また、三越呉服店の懸賞広告で一等を獲得するなどデザインの分野でも才能を発揮した。一方で、版元渡辺庄三郎との「新版画」制作をきっかけに木版画に打ち込み、静けさの中にも情感あふれる女性像の数々を生み出した。
- 所蔵館
- 江戸東京博物館
- 資料名
- 紅筆を持てる女
- 資料番号
- 06200444
- 小分類
- 版画
- 種別
- 近代木版
- 作者(文書は差出人)
- 橋口五葉/画 小池政造/彫 染川勘造/摺
- 年代
- 大正期 大正9年2月 1920 20世紀
- 員数
- 1枚
- 法量
- 41.7cm x 28.5cm
- 江戸博デジタルアーカイブズ
- https://www.edohakuarchives.jp/detail-33.html
江戸東京博物館のその他の収蔵品 (159766)
[利息受取証]
比留間新之丞
江戸東京博物館
戦国雑兵 「や、妙なものが落ちておる」
清水崑
江戸東京博物館
芳年武者无類 日本武尊 川上梟師
月岡芳年/画
江戸東京博物館
読売新聞 第6631号
江戸東京博物館
関東大震災写真 赤坂田町震災の実景 芝区
江戸東京博物館
明治30年5月調査東京市十五区全図 14 東京市本所区全図
東京郵便電信局/編
江戸東京博物館
民家模型
江戸東京博物館
長着 単衣(男性用)
江戸東京博物館
敵御方供養塔
永江維章/編輯
江戸東京博物館
[姫路赤十字病院庭石調書 下書き]
江戸東京博物館
昭和前期社会運動関係資料 新聞 赤旗 東京地方版 第七号 本紙附録
江戸東京博物館
乍恐以書付奉願上候御事
江戸東京博物館
三月大歌舞伎
松竹株式会社演劇部/編
江戸東京博物館
箱(中)
江戸東京博物館
進藤純孝宛葉書
亀井勝一郎/作
江戸東京博物館
提灯で遊ぶ子供
江戸東京博物館