Meta Bath〜デジタルで見る東京型銭湯〜

企画概要

東京都と公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京が主催する、TOKYO スマート・カルチャー・プロジェクト※で、江戸東京たてもの園に収蔵されている銭湯「子宝湯」の 3D データを作成しました。100 地点のレーザースキャンによる計測や、6,000 枚に及ぶ画像を重ね、細かな部分の形状や部材の質感を記録しました。

オンライン展覧会では、メタバース(仮想空間)上で、「子宝湯」を解説とともに隅々まで鑑賞することを可能にしました。現地でしか見られなかった建造物を、世界中どこからでも見学でき、デジタルならではの立体的な視点で「子宝湯」を味わうことができました。

また本展では、2021 年に閉業後、解体された北千住の宮造り銭湯「大黒湯」との 3D 比較も行いました。時空を超えて銭湯の世界にどっぷりと浸かる、新たな鑑賞体験をたくさんの方にお楽しみいただきました。

動画で振り返る

Meta Bathでは、画面をスクロールして銭湯を探索しました。浴槽に浸かってみたり、建物の外へ飛び出して屋根を眺めたり、時を駆けてみたり…バーチャル空間だからこその視点で空間ごとに「探索スポット」を設け、見どころを詳細解説。そして時空を超えてタイムバスリップし、子宝湯と大黒湯、二つの東京型銭湯をめぐるツアーは終了します。

見所ピックアップ

1.3Dで自由な視点から銭湯を鑑賞

平面や断面など自由な視点で鑑賞を可能にしました。子宝湯をはじめとする「東京型銭湯」は、社寺建築の特徴を多く備えており、瓦屋根や豪華な彫刻が施されています。Meta Bathでは、3Dデータによって、平面や断面など自由な視点からの建物鑑賞を可能にしました。

2.銭湯文化を楽しむアイテムにも注目

3Dで保存された空間では、実際に銭湯で使われていた椅子式のヘアドライヤーやコイン式マッサージ機など、年代物のアイテムなども保存し、これらを通じて、日本の銭湯文化をより深く体感していただきました。

3.時空を超えて、同時代の銭湯を比較

子宝湯と同じ年(1929年)、同じエリア(北千住)に建てられた大黒湯も、「東京型銭湯」の代表的存在でした。本展では、両者を3Dデータで比較することで、二軒の銭湯の特徴を時空を超えて味わっていただきました。

▼3Dモデルを触っている様子

技術に注目!

技術に注目!
①建物の3Dデジタルアーカイブ
子宝湯の3Dデータ化には、土木や測量分野で活用されるレーザースキャンや、写真の質感まで再現できるフォトグラメトリ技術、広域や上空から撮影を行うドローンによる測量という、複数のスキャン技術とデータを組み合わせて高精細で立体的なデータを作成しています。
②ウェブ3D関連の技術
「Meta Bath」は、銭湯について楽しく学べる、ウェブ3Dのコンテンツです。ウェブブラウザで3Dグラフィックスを表示するために、Three.jsというWebGLのライブラリを採用しました。また、銭湯の3Dモデルはデータ容量がとても大きいので、3DTilesという技術を使用し、データの読込時間を短縮するような工夫をしています。また、ブラウザ画面をスクロールしながらシナリオを展開していく演出の実現には、Three.jsにthree-story-controlsというプラグインを組み合わせて使用しています。

実績