白い背景の中にこちらを睨むように見つめる女の子が描かれている。何かに傷ついたように見つめるその視線は、鑑賞者の心の中に潜む加害者的な意識を揺さぶる。しかし、彼女は孤独に傷つきながらも反発し、未来や希望を失っているというよりは、むしろ生きる力に満ちている。奈良美智は女の子や犬などをモチーフに、フラットな表現による絵画や立体作品を制作する。作品に登場する女の子は奈良の自画像であるという。日本の美術大学を終了後、単身ドイツに渡り12年間そこで制作してきた。知り合いもなく、思うように言葉も通じないという孤独は、奈良が制作する原動力となり、鋭い目つきで見る者を睨むような少女像が多く生み出された。また、時に奈良の作品に登場するロック調のメッセージは彼自身を鼓舞すると同時に、作品を見る者に勇気を与えるメッセージともなっている。帰国後は、クリエイティブ・ユニットgraf(グラフ)と組んで、廃材で作った小屋に複数の作品を展示したインスタレーションを行うなど単独でなく周囲の人々と一緒に作り上げていくような方法をとることも多い。作家自身の時間や環境の変化とともに女の子の表情も変化しており、その時々の作家の心情を映し出しているといえるだろう。(A.T.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- サヨン(莎詠)
- 作者名
- 奈良 美智
- 制作年
- 2006
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- アクリル/カンヴァス
- 寸法
- 146×112.5cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 2006
- 作品/資料番号
- 2006-00-0004-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/4930/
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