昭和24年(1949)、大野俶嵩は〈パンリアル美術協会〉の結成に参画する。彼らがめざしたのは、封建的な画壇に対抗し因習的な技法を否定して、日本画の膠彩芸術としての可能性を追求することだった。大野はそこで自己否定を繰り返しつつ、画風を目まぐるしく変えていく。昭和33年の第16回パンリアル展に、彼はアジア・アフリカ美術展で見たコプト織に触発され、ドンゴロス(麻などの粗布)をコラージュした作品群を出品する。これが以降のドンゴロスの連作の嚆矢となった。本作品はその際に出品されたうちの一点。大野の作風変遷のうえで転回点となった記念碑的な作品である(同年中に彼はパンリアルを退会し、国際的な舞台での活動を開始する)。
かなり横長の粗い地のパネルに、襞を寄せて粗布が貼りつけられている。裂いた布の端でできる輪郭をやわらげるように、黒と鈍い発色の金が塗られている。有機的な形態の強調、素材を物質そのものとして呈示する方法は、同時代に紹介された、アンフォルメルの絵画と軌をーにする。これが、かつてない程の徹底的な日本画否定の末に辿り着いた、彼のとりあえずの到達点であった。(R.N.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 黒と金のコラージュ
- 作者名
- 大野 俶嵩
- 制作年
- 1958
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- 顔料、麻布/カンヴァス
- 寸法
- 61×212cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1992
- 作品/資料番号
- 1992-00-0022-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/3940/
東京都現代美術館のその他の収蔵品 (8082)
SHAKKI – black and white on the lake
康 夏奈(吉田 夏奈)
東京都現代美術館
[「第10回日本国際美術展 人間と物質」(1970年)記録写真] [クリスト《包装した床》]
大辻 清司
東京都現代美術館
PL.5 鎮魂歌[『人それを呼んで反歌という』より]
駒井 哲郎
東京都現代美術館
首飾り
三雲 祥之助
東京都現代美術館
ドゥローイング Ⅲ
米林 雄一
東京都現代美術館
笑って[『ロケーション・アンド・シーン』より]
池田 満寿夫
東京都現代美術館
組札 ハート
髙田 安規子・政子
東京都現代美術館
[小清水漸作品写真集 2](49/74)
小清水 漸
東京都現代美術館
天国への手紙(親愛なるMB様 あなたの仕事は、今日ちゃんと理解されていません。あなたのKN)
野村 和弘
東京都現代美術館
海鳴り
駒井 哲郎
東京都現代美術館
無題
櫻井 英嘉
東京都現代美術館
Fructification
木原 康行
東京都現代美術館
あのウズラはわたしに似ている
福田 尚代
東京都現代美術館
黒椅子の少女
鬼頭 鍋三郎
東京都現代美術館
実際には:盲目の意志 Ⅳ
荒川 修作
東京都現代美術館
Drink
井田 照一
東京都現代美術館