
「物心つく頃から私の視覚や聴覚や心の襞には、自然界や宇宙、人間や血や花やその他様々なことが不思議や怖れや神秘的な出来事として強烈に焼きついて、私の生命のすべてを虜にして離さなかった」。と作家は語る。
水玉や網、花の模様が果てしなく増えていく幻覚に襲われるという幼少期の体験が草間を絵画表現に駆り立て、のちにその表現の核となる「反復と増殖」の概念に発展していった。
渡米する飛行機から見降ろした太平洋のひろがりをオールオーヴァーな画面に描いた《パシフィック・オーシャン》は、作家を一躍アメリカで有名にした「ネット・ペインティング」の連作で最も初期の作品である。60年代はニューヨークを拠点に、‘73年からは日本に帰国し、網の目(ネット)の作品を初め、《一億光年の星屑》に見られるドット(水玉)の絵画や、《魂がいま離れようとしている》などのコラージュ、男根状の突起物で覆い尽くされたオブジェ、さらにインスタレーションやパフォーマンス、小説、詩集に至るまで、幅広いジャンルの膨大な点数の作品を制作発表する。
強迫神経症をかかえた作家は、絶えずハイペースな制作行為を続けることで、自らの「オブセッション(妄想、強迫観念)」を芸術表現に転化し、昇華させる。そのダイナミズムこそが草間彌生の作品世界をより強く魅惑的なものにしている。(T.I.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- パシフィック・オーシャン
- 作者名
- 草間 彌生
- 制作年
- 1960
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- 油彩/カンヴァス
- 寸法
- 183×183cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1991
- 作品/資料番号
- 1991-00-0007-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/3846/
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