
黒船来航から開国へと進む不安定な世情のなか、軍事力の強化が幕府、諸藩とも必至の課題だった幕末。幕府は文久年間(1861~64年)に大規模な軍制改革を行った。また、軍事の近代化をはかるためフランスから教官を招き、軍隊の調練を行った。1862年には、武家服制改革「服制変革ノ令」を発布。レクション羽織は、この時期に誕生した武士の調練装束だ。
従来の陣羽織と共通する点が多いが、洋服の影響を受けた筒袖形の羽織となっている。「レクション」は、lesson(訓練)の意味とも、フランス語のl’equitation(乗馬)に由来するとも言われている。
レクション羽織の生地は、輸入品の羅紗が多く用いられた。羅紗は、厚手のウール地で、織り目が見えなくなるほど密にして起毛し、毛羽を切りそろえ、加工を施している。防寒・防水に優れ、野外で着用する陣羽織、武家の火事装束によく用いられている生地である。
本資料は、萌黄色の羅紗地で仕立てられ、背中央に黒羅紗で月星紋を表している。背の中心の深いスリット(背裂)は、乗馬や帯刀時を考慮し、裾が邪魔にならないよう施されたもの。従来の陣羽織の背裂から微妙に仕立てが変化しており、コートやスーツに見られるセンターベンツのように折り伏せの仕様となっている。
- 所蔵館
- 江戸東京博物館
- 資料名
- 萌黄羅紗地レクション羽織
- 資料番号
- 14200050
- 大分類
- 工芸品
- 小分類
- 染織
- 種別
- 衣服
- 年代
- 江戸後期 19世紀
- 員数
- 1領
- 法量
- 93cm x 68.4cm x 36cm
- 江戸博デジタルアーカイブズ
- https://www.edohakuarchives.jp/detail-864.html
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