
力強い木版画作品で知られる風間サチコ(1972年生まれ)は、自らの作品を、日本の社会が現在抱える諸問題を、そこに至るまでの歴史的経緯を踏まえつつ検証するための手立てとしている作家である。木版画という複製可能かつプリミティヴなメディアを、風刺や劇画的要素を盛り込みつつ、一点刷りの、「歴史画」ともいえる大画面の構成へと転用する彼女の作品は、現代社会への警鐘という前衛芸術が担ってきた歴史的役割に対する、諧謔的なオマージュともいえよう。この作品のタイトルは、日露戦争の旅順口閉鎖作戦から取られている。戦死者の「軍神化」という歴史的事例が、原爆、第五福竜丸、福島第一原発という、日本と原子力をめぐるクロニクルとともに、原発開発と「安全神話」の流布という現代の問題へと重ね合わされている。画面右端にはかつての原子力潜水艦「むつ」、その後ディーゼル機関を積み、海洋地球研究船として福島の環境調査にも赴いた「みらい」の船影が、異なる時間が重ね合わされたこの作品を象徴するように登場している。
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 噫!怒涛の閉塞艦
- 作者名
- 風間 サチコ
- 制作年
- 2012
- 分類
- 版画
- 材質・技法
- 木版(墨/和紙、パネル)
- 寸法
- 181×418cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 2012
- 作品/資料番号
- 2012-00-0049-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/6988/
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