懐中電灯を持ち、暗闇の中を何かを探す様子で歩く少女。周りに浮かぶのは、プロ野球チーム、自動車会社、幼いころの記憶にあるマークなど、都市に散りばめられた記号の数々である。この少女は、都市を徘徊しイメージに反応する画家の分身ともとれるだろう。紙に水彩を染み込ませる様式は、多彩なバリエーションをほこる森千裕の作品のなかで、ひとつの大きな系譜をなしている。日本画に多くを学んだというこの技法は、作家によると、「都市の湿った感じ」やそこに住む「人間の皮膚感」を表現するのに適しているという。
1978年生まれの森千裕は、都市生活に氾濫する記号、映画、マンガ、広告などのイメージ群、あるいは日用品や廃品を再構成し、自らを取り巻く環境をユニークな視点から変換する絵画や立体作品で、早くから注目を集めてきた。自らが育ってきた「昭和のイメージ」に興味があるというその作品は、共同体の記憶を喚起するとともに、その奥に潜む神仏や民話などの土着的な欲動に言及する広がりを持っている。
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- Little Trouble Girl
- 作者名
- 森 千裕
- 制作年
- 2010
- 分類
- 水彩・素描
- 材質・技法
- 透明水彩、鉛筆/水彩紙、木製パネルにマウント
- 寸法
- 120×178cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 2011
- 作品/資料番号
- 2011-00-0002-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/6109/
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