
ヤノベケンジは、日本が高度経済成長期にあった時代に育ち、漫画、テレビアニメ、SF映画に囲まれて世界観を築いてきた。彼の作品にはこうした少年時代のサブカルチャー体験が、色濃く反映されている。初期に発表された巨大プラモデルのような彫刻作品には、鑑賞者が装着できたり、乗って動かせるユニークな機能が付いていたが、それはまた未来の地球で生き残るための装置「サヴァイヴァル・マシーン」でもあった。そうしたヤノベの意識に変化が訪れるのは日本を離れて、チェルノブイリを訪れた1997年である。ヤノベは自作の放射能防御服《アトム・スーツ》を身につけ汚染地帯に乗り込んだが、廃墟と化したチェルノブイリで再び生活を始めた住民の姿を発見することになる。それ以来、ヤノベの創作テーマは、自分だけが生き延びる「サヴァイヴァル」から、他者とともに再び生き直すことを目指す「リヴァイヴァル」へとシフトし、生に対するポジティブな要素が加味されるようになった。2004年には愛知万博のために「マンモス・プロジェクト」を立ち上げ、工業廃材で作ったマンモスをシベリアに埋めて未来に掘り起こす壮大な計画を提案した。このプロジェクトは万博では実現を見なかったが、その後、若い世代の賛同を得て引き継がれ、その過程で作られたのが《ロッキング・マンモス》である。車を解体して作られたこのマンモスは、ユーモラスな形をしているが、排気ガスで環境を汚し、進退きわまる20世紀の象徴でもある。このように既成のアートの枠組みを超えるヤノベの活動は、現実に対するわれわれの覚醒を絶えず促し、時代や社会に対する鋭い批評となっている。
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- ロッキング・マンモス
- 作者名
- ヤノベ ケンジ
- 制作年
- 2005
- 分類
- 彫刻・インスタレーションほか
- 材質・技法
- 鉄、機械部品ほか
- 寸法
- 370×190×450cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 2007
- 作品/資料番号
- 2007-00-0006-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/5281/
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