保田春彦(1930-2018)は、画家・彫刻家として知られる保田龍門を父に、和歌山県に生まれました。東京美術学校で彫刻を学んだ後、1958年に渡仏して、パリのアカデミー・グランド・ショーミエールでオシップ・ザッキンに師事しました。作家自身は後年この時期を振り返り、ザッキンとともにヘンリー・ムーアとマリノ・マリーニにも影響を受けたと語っています。
彫刻家として独立し、イタリア・ローマを拠点に様々な展覧会等への出品を重ねた保田は、1968年に帰国した後、武蔵野美術大学に籍を置いて後進の指導に当たりつつ、同大学の研究室を工房として、晩年に至るまで精力的な制作活動を続けました。
《聚落を囲む壁III》は、あたかもその中にあるものを守るかのように、大きさの異なる堅固な鉄製の枠が入れ子状に連なっています。作品の表面を覆う赤錆は、設置された気候風土の中で、作品がその地の石や土とともに同じ時を刻み、いつしか大地と一体化していく姿をシンボリックに表現したものです。
他の多くの保田作品がそうであるように、本作品も展示のための台を持たず、床面に直に接するかたちで設置されています。これは、作品が設置される空間をも含めての造詣表現であるという、作家自身の確固としたポリシーに基づくものです。
鉄という無機的な素材を使いながらも、大地と繋がりそこに溶け込もうとする有機性をも備えている保田の作品には、かつて欧州諸国を巡り歩き、現地で触れた都市や人々の生活が、抽象化され純化したかたちでちりばめられています。
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 聚落を囲む壁 Ⅲ
- 作者名
- 保田 春彦
- 制作年
- 1994-95
- 分類
- 彫刻・インスタレーションほか
- 材質・技法
- 鉄
- 寸法
- 185×217.6×331cm
- 受入区分
- 寄贈
- 受入年度
- 1999
- 作品/資料番号
- 1999-00-0052-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/4678/
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