「最初それは小さな金属音で始まった/突然 森の奥で恐怖にも似た叫び声が静寂を切った/数日後……すでにその森は消えていた」(『所在/LOCUS 土屋公雄彫刻作品集』1992年、p.9)。フランス、リモージュにほど近いヴァシヴィエール。1990年、同地の国立現代美術センターで開催される個展を機に土屋はヴァシヴィエールの森に入った。握りしめたのは、伐採の後に打ち捨てられた数個の木片。かつては大木であったろうその木片を一片また一片と並べ、死から生への輪舞を夜空に描く。欠けては満ちる月の円弧は、木片が土に還り、再び大木となって葉を広げる夢と重なり合う。80年代に伐採された自然木や工場廃材を、それらに息吹を与えるがごとく半円形や渦巻型の巨大なマッスに集積した土屋は、本作の後、廃屋を燃やした灰による作品へと向かう。巨大な構築物から物質の最後のそして最初の形である灰へ。それらは、生命の円環への長い祈りなのである。
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- ヴァシヴィエールの月
- 作者名
- 土屋 公雄
- 制作年
- 1990
- 分類
- 彫刻・インスタレーションほか
- 材質・技法
- 木(樫、杉、椋ほか)
- 寸法
- 150×400×4cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1995
- 作品/資料番号
- 1995-00-0005-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/4252/
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