典型的なカリフォルニアの邸宅ののどかな午後である。ひとけのない広々とした緑の芝生にスプリンクラーが回っている。1964年にイギリスからロサンジェルスに移住したホックニーは、明るい陽光を浴びるアメリカの中産階級の日常的な光景をさかんに描いた。陰影の少ないフラットで明快な画面は、この頃試みられたアクリル技法のもたらした効果である。幾何学的といってもよい単純な構成は鮮やかな青や緑の色面に塗り分けられており、さらに画面はくっきりとした赤の線で枠取りされている。作者自身この作品について、シンメトリカルな抽象画に近いものであると述べているが、スプリンクラーから散布される霧状の水しぶきが、その図式化を破っている。ホックニーはしばしばプールに映る水紋やはね上がる水しぶきを題材にし、水という不定型のモティーフを安定した幾何学的な構成と対比させながら、リアリティと文様化の間を揺れ動くような表現を示した。一見、同時代のポップ・アートの明瞭で直截な現実性を思わせるが、それとは異なる白昼夢的な非現実性の漂う独特の世界を見せている。(K.M.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- スプリンクラー
- 作者名
- デイヴィッド・ホックニー
- 制作年
- 1967
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- アクリル/カンヴァス
- 寸法
- 125.8×123.8cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1991
- 作品/資料番号
- 1992-00-0018-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
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