
1980年代初めより本格的な作家活動を開始した中村にとって、前提となり出発点となったのは、ポロック、ニューマン、ロスコら、アメリカ抽象表現主義の絵画空間であった。だが中村は、それを継承しようとしたわけではない。むしろその優位性をくつがえし、相対化することによって、これまでにない新しい絵画空間を切り開こうと試みたのである。早くから絵巻や障壁画などの日本的な絵画空間に親しんでいた中村にとって、それは必然的な選択だった。そして、「Y型」や「斜行グリッド」などの画面全体を統御するモティーフの開発や複数の絵画空間やスタイルの同時的な操作が、その手だてとなった。本作は、1990年頃に始まる「開かれたC型」連作の一点である。「開かれたC型」とは、横に倒された弧線のモティーフを指す。それは、「斜行グリッド」の斜めにずれていく空間に、部分的なひずみを与えることによって、絵画空間を局所的に破調させる効果があった。赤、オレンジ、緑、紫などの華麗な色彩の用法に加え、表現主義的なストロークが、この作品以降、激しさを増し始める。そして、中村の目指す絵画空間を実現するための重要な要素となっていくのである。なおタイトルは、色彩がジョルジョーネの《ラ・テンペスタ》を連想させたことからつけられたものである。(Y.M.)
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 91814⑪ – C opened テンペスト Ⅱ
- 作者名
- 中村 一美
- 制作年
- 1991
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- 油彩/カンヴァス
- 寸法
- 195×410.8cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1991
- 作品/資料番号
- 1992-00-0011-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/3921/
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