
幼少の頃より身近のオブジェに強い愛着を抱いていた桂は、コラージュ等の技法により「物と即結して即物的に」制作を行っていた。しかし戦争を契機に、社会状況と無関係に生み出される作品に疑問を感じ、これまで沈めていた物語性や思想性、人間性を押し出すことへと意識を転換させる。その結果、実際に物をコラージュしたもの、あるいはそれらを描いたものと戯画化・抽象化された人物像との組み合わせによる表現を試みるようになる。《抵抗》と題された本作品で、人物は生々しく赤い爪に長い髪を引っ張られており、その力から逃れようと鳥の脚にしがみついている。鳥はその手に抗うかのように首をもたげ、羽ばたこうとする。爪と人物、鳥と人物の間に力が拮抗し、強い運動感が画面に生じている。桂は、自分の感受性を素直に表現し、自分だけの世界を創造しようと作品を作りつづけてきた。が、その活動の根底に潜んでいたのは周囲の状況や固定観念に対する抵抗感であろう。ただ、桂自身そうした態度をとりながらも、自分を含めて人間に対し客観的に醒めた眼差しを向けている様が本作品におけるどこかユーモラスな人物の表情に窺えるようにも思えるのである。
- 所蔵館
- 東京都現代美術館
- 作品/資料名
- 抵抗
- 作者名
- 桂 ゆき
- 制作年
- 1952
- 分類
- 絵画
- 材質・技法
- 油彩/カンヴァス
- 寸法
- 130×162cm
- 受入区分
- 購入
- 受入年度
- 1989
- 作品/資料番号
- 1989-00-0062-000
- 東京都現代美術館コレクション検索
- https://mot-collection-search.jp/shiryo/3687/
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